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ICEM InBrief 2006年7月24日 61号

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31 October, 2006

英国で、イメリーズ生産拠点移転反対キャンペーン拡大、

運輸一般労組 (TGWU) は英国南西部にあるイメリーズの事業所English China Clay (ECC)に働く800人の労働者の解雇反対運動についてICEMなどの労働組織の協力をえた。TGWU は1999年にECCを買収したこのフランス系建材企業が労働者を解雇すること対抗するため、総合的な住民キャンペーンとグローバルキャンペーンを計画した。

イメリーズの労働者を組織している他の組合、AmicusとGMB は TGWUとともに地方自治体及び政府に対し同社が工場を閉鎖し、従業員を解雇した場合の経済へのインパクトについて説明した。組合側は800人の雇用機会は保障するとした2年前の公約遵守に関しイメリーズに外圧をかけるため、住民に事情を認識してもらおうと、集会、署名運動などキャンペーンを実施することを決めた。
また、このキャンペーンの結果、800人の雇用を守るための何らかの措置を政府が取ることも期待されている。 ICEMはグローバルレベルでこのキャンペーンの盛り上がりを支援する予定だ。

イメリーズのリストラ案は英国南部の脆弱な経済にとってはまさに爆弾宣言となった。同社の労働者は同地域の平均年間所得より4500ポンド高い、23000ポンドの年間給与を得ている。イメリーズは、エネルギーコストの高騰を理由に、2008年の初めからECCのすべての鉱山事業所及びコーンウォール、デボン、リーモアにある 加工工場の閉鎖を開始し、カオリンの生産と製紙産業用の上質コーティング生産をブラジルに移転する、と7月初めに発表した。

7月11日に開らかれた英国下院の臨時議会において、英国南部選出のマシュー・テイラーは同地方の5世帯の内1世帯が今回のリストラ案の影響を直接受け、間接的影響を考慮する場合、3世帯の内1世帯がインパクトを受ける、また、同社に働く800人の労働者の他に、同地方の購買力低下の結果、800人の雇用機会も喪失されることになるだろう、と発言した。

イメリーズの欧州労使協議会は、100人の組合員が働くフレンスの事業所の閉鎖と英国での大量解雇を非難し、 生産拠点をハンガリーとブラジルに移転するという今回の経営戦略はまさに利益志向の戦略である、とする声明を出した。

さらに、欧州労使協議会は、優れた事業成績を上げ、財務も良好な状況にあるイメリーズに対し、フランスと英国にもたらされる社会的インパクトの責任を取るよう求めるとともに、労使対話の場を持つよう求めた。また、同委員会はハンガリーとブラジルの労働者の雇用条件、ことに労使関係及び安全衛生問題について大変憂虜する、と表明した。

開示された2006年第一四半期の財務状況によれば、イメリーズはエネルギー価格の高騰の影響を全く受けていない。売上高は2005年の同時期と比較して 10.8%伸びており、経常利益も 13.2%増えている。


NOPEFの石油サービス事業スト、今日斡旋調停

1か月続いているノルウェー石油労組のストの結果、ノルウェーの石油・ガス生産量は減少し始めている。政府はスト開始前に調停を試みたが、今日、二回目の斡旋調停が入ることになった。

87人のNOPEFの組合員が参加している今回のストはノルウェーエネルギー産業内で締結されている協約レベルに全国石油サービス事業の協約を調和させること、特に労働条件条項を調和させることをを求める戦略的ストである。

スト労働者はHalliburton, Baker Hughes, Schlumberger, Weatherford 及びOceaneeringの各社に雇用されている。また、Aker Kvaerner, Geoservices,及びAcergyなどの他の石油サービス事業会社にもストの影響が出ている。スタットオイル、コノコフィリップス、シェル、エクソンモービル、シェブロン及びノルスクヒドロなどは掘削作業、探油作業、保守作業に深刻な支障が出ている。

スタットオイルのスノーレ及びストラットフォードのプラットフォーム並びにスニュービット及びクリスティン油田では作業が中止された。また、このストの結果、ノルスクヒドロのヘイドルン及びオセベルグのプラットフォーム及びコノコフィリップスのエコフィスクのプラットフォームでは作業ペースがスローダウンした。


チャドのエクソンモービル労働者、再度スト突入

チャドの石油油田労働者は先週、再度、Esso-Tchadで3日間ストを行使した。チャドのナショナルセンターに加入する石油労組は、1日20万バレル送油するパイプでつながれている隣国のカメルーンの石油労働者と同レベルの賃金を要求している。

チャドーカメルーン間のパイプラインは現在フルに稼動できる状態となっており、このパイプラインで多額の利益を享受しているエクソンモービル、マレーシアのペトロナス、及び米国のシェブロンは世銀とチャド政府の援助金問題の係争を巻き添えた形だ。石油各社は膠着状態になっている開発援助金問題を利用している。

この争議の問題はチャド南部にあるドハ油田の石油労働者は賃金格差及びその他の労働条件問題の解決に向けて経営側と交渉したいと考えているのだが、Esso-Tchadの経営側が誠実な姿勢で交渉しようとしない点である。また、2003年に石油生産が開始された際に合意した石油労働者キャリア上進計画を経営側がまったく無視し、実施していないことも争点となっている。

420人の石油労働者は経営側が組合側の要求に応じない場合には、10日間ストを行使するとしている。石油労働者の第一波ストは7月4日から6日まで、第二波ストは7月18日から20日まで実施された。

世銀とチャドの係争の発端は昨年の石油歳入管理法改正で、その結果、世銀の資金融資・返済の条件が変更された。世銀は資金融資と援助金の送金をストップする形で対応した。7月14日、世銀とチャド政府は、チャド政府は当該法を修正し、石油歳入の70%を貧困撲滅対策に充当するなどの条件で合意に達した。

チャドーカメルーン間のパイプラインの関連で、2000年から2003年にかけて労働組合権と人権問題が起きた。HIV/AIDSの問題はその1例としてあげることができる。チャドの有病率は5,5%であるが、このパイプライン地域の住民の場合、有病率が19.8%となっているのが現状だ。


チリのEscondida 銅鉱山労働者、スト突入準備

7月22日、Escondida労組と世界最大の銅鉱業会社間の交渉が再開した。労使交渉は6月21日に団体交渉以降、賃金問題で暗礁にあがっていた。

現行協約は発効が8月2日で切れる。Escondida従業員2052人、つまり96%の従業員を組織する組合は経営側が示した賃金最終案について7月28日に投票を行う、と7月21日に発表した。.組合はすでにスト権を確立している。

7月初め、経営側はチリの物価上昇率に合わせ1.5%の賃上げ案を示したが、労働者たちは作業規則に厳格に従った作業を実施することで対抗した。その結果、生産量は10%落ちた。組合側は13%の賃上げと銅価格高騰を背景にした単発ボーナスの支給を要求している。

銅価格の高騰とEscondidaが所有する2ヶ所の銅鉱山事業所での生産量が昨年15%伸びた事実、並びにEscondia近郊地域はチリの他の地域より物価が10%高い事実を指摘し、組合側は今回の賃上げを要求している。..

Minera Escondida Ltd は昨年1億2700トンの銅と陰極銅を生産した。これは世界銅生産量の8%に当たる。また、同社は18万2472オンスの金も生産した。同社の株式はBHP Billitonが57.5%、リオティントが30%、三菱商事が筆頭会社となっている日本の合弁会社が10%、世銀のInternational Finance Corp.が 2.5%所有している。


パキスタン労組、労働法改定に反駁

パキスタンの主要ナショナルセンター5組織は、労働法改定で労働基準が17世紀レベルに劣化するとし、全国各地で大規模な抗議運動を展開している。5組織はデモ行進、抗議文や文書の配布、7月20日に予定されている1日ハンストへの参加を呼びかけた。

1ヶ月前、下院は、上院の承認を受けず、パキスタンの労働法案を通過させた。この結果、一日の労働時間が増え、時間外手当が減り、時間外手当を支給されない契約労働者という新しいカテゴリー労働者が創出されることになった。

時間外手当支給なしの契約労働の合法化により、短期契約労働者として多くの労働者が今後労働市場に参加する道が開かれた。労働法案の1つの条項が修正された結果、1日の労働時間は8時間から12時間に増えた。

他の改正事項はこれまで義務化されていた休日休業の廃止である。この結果、働く女性の労働時間数が増え、家族と過ごす時間が減ることになった。また、今回の法改正の影響で、工場法も修正された。その結果、これまでは、女性は日の出前また日没後に就労することが禁止されていたが、法改正の結果、22時まで2日勤シフトに就業することができるようになった。

パキスタンの労働諸組織は今回の法改定は非人道的であり、国際労働基準とILO条約の侵害であるとともに、パキスタン憲法の精神に合致しないものである、と主張している。パキスタン国内のオピニオンリーダーらも今回の改正のプロセスは憲法に違反しているため、非合法であり、労働者搾取、特に底辺層の労働者への搾取が頻繁に行われることになろう、としている。.


南北アメリカの鉱業安全調査が進捗

今年1月2日に米国のウエストバージニア州のサゴ炭鉱で起きた爆発事故と2月19日にメキシコのコアフイラ州のGrupo Mexico パスタデコンチョNo.8炭鉱で起きた爆発事故の調査が進んでいる。政府の安全検査が徹底していなかったこと、企業側に安全文化が欠如していた事実が事故の原因として明確になった。

先週メキシコ政府のナショナル人権員会が発行した報告書は、2004年労働省はGrupo Mexicoのミネラメキシカーナ炭鉱で48の重大問題点を確認したが、爆発事故の12日前まで会社側は何の対策措置も取っていなかった、と指摘している。2月に起きた爆発では65人の炭鉱労働者が死亡した。その大半は訓練を受けず、適正な酸素マスクの支給も受けていない契約労働者であった。また、メキシコの鉱山金属労組の25人あまりの労働者も死亡した。

ナショナル人権員会のスポークスマンは、惨事が起きた炭鉱の労働条件及び会社側が安全基準を守っていない事実について十分承知している、と述べた。政府は発火及び地下坑内シグナルシステム並びにガスとオイルの漏出、煙探知機の欠陥についても承知している。

米国では、12人の炭鉱労働者が死亡したサゴ炭鉱に州政府と連邦政府の事故調査団が立ち入り検査し、会社側が安全訓練を受けていない労働者に訓練を受けたことにし、受講証明書にサインをさせ、文書を捏造していた事実を確認した。サゴ炭鉱はWolf Run Mining Co.の所有だが、米国に本社を置く投資会社International Coal Group (IGC)が破産した東部炭鉱会社を買い上げて設置した会社だ。

ペンシルバニアの新聞会社、Pittsburgh Post-Gazetteの調査でも、サゴ炭鉱の安全避難室はメタンガスの爆発に耐久性を持たない素材で建設されていることがわかっている。

サゴ炭鉱労働者やその家族が全米鉱山労組に対し米国鉱業安全衛生法の下で実施される法的に拘束される事故調査チームに入るよう要請していたにも関わらす、ICG社は警備員を使ってUMWAの事故調査担当者らの入坑を阻んでいた。地方裁判所の裁定が出た後すぐ、ICG社は控訴したが、バージニア州リッチモンド地方裁判所は控訴を却下した。


7月半ばに中国の炭鉱で事故多発

中国の各地の炭鉱で、7月半ば、多くの死亡事故が起きた。1週間あまりの期間に、6ヶ所の炭鉱で100あまりの労働者が命を失った。

最も多くの死亡者を出したのは中国陝西省リンシー郡にあるリンジアジュアン炭鉱で7月15日に起きた石炭塵の爆発事故であった。この事故で57人の炭鉱労働者が死亡し、避難できたのは6人の炭鉱労働者だけであった。また、同じ7月15日に中国中部の湖南省のシェンジアワン炭鉱で発生した鉄砲水で14人の労働者が亡くなった。地下の坑内にいたのは1人の労働者だけであったが、救援に入った労働者らも鉄砲水に遭い、命を落とした。

さらに、7月15日、貴州省安順近郊にあるピアンポユアン村営炭鉱で発生した洪水で18人の炭鉱労働者が亡くなった。7月16日、四川省ジュンリアン郡にあるリラン炭鉱で起きた事故で8人が死亡した。この事故では34人の労働者は避難することができた。

陝西省ルリアン市のドンチュアン安炭鉱で7月10日に起きた坑内洪水事故の場合、10人の炭鉱労働者は逃げることができたが、8人が命を奪われた。救援隊は2000㎥の水をポンプでくみ上げなければならなかった。7月8日、陝西省リウリン郡近郊の炭鉱で6人の炭鉱労働者が死亡した。これらの労働者は洪水で逃げ遅れたと推測される。