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30 March, 20062006年2月20日 50号

ネパール王政権の国際社会からのプレッシャー回避の試み
ネパールのギャネンドラ国王は先週末に民主化に向けてすべての政党と対話をしたいとの声明を出したが、政府が拘束している労働組合活動家や政治家すべてを釈放しない限り、徒労の公約となる。国王は昨日(2月19日)ますます大きくなっている国際社会からのプレッシャーと、民主化を求める国内の勢力拡大を逸らすため、7政党連合を形成し、膠着状態の民主化プロセスを出来るだけ速くフルに活性化したいと表明し、予想外の展開を見せた。
基本的人権を一時停止させた独裁政権が誕生1年目を迎え、王権に対する3000人規模の穏やかな抗議デモを実施する前日に、ネパール王は初めて国民に向けた声明を国営新聞に発表した。告訴状なしに拘束されているGEFONTとNTUCの組合幹部全員と他の人権問題活動家すべてが釈放されない限り、ギャネンドラ国王の美辞麗句は意味がない、とICEMは確信する。先週、数週間拘束された後、労働組合活動家数名が釈放されたが、上述の2つのナショナルセンターのリーダーと教員組合のリーダー数名はまだ拘束されたままである。
GEFONT、NTUC 及びもう一つのナショナルセンターであるDECONTは、2月13日、政府に対し35日以内にフォーマルセクター及びインフォーマルセクターについてILO労働局の憲章にしたがって対応するよう要求した。ILOの憲章は、賃金値上げに関する労働法の強化、総合的社会保険基金制度の採用、基本的労働組合権に関するコミットメントの策定、特に女性に対する非差別行動慣行の実施を政府に求めている。
世界の労働組合、バス運転手に対するイランの抑圧政策を非難
世界の労働組合は、2月15日、テヘラン及びその周辺地域で働くバス運転手に対するイラン政府の抑圧政策を非難した。非難したのはGUF諸組織、各国ナショナルセンター、ICFTUばかりではなく、ヨルダン、エジプト、イラク、モロッコ及びチュニジアの運輸労組や石油労組も強い言葉で非難した。北アフリカや中近東諸国の鉄道労組や海員/港湾労組もイランのバス運転手を支援する目的で組織されたアクションデーに参加した。
イラン情報省と治安警備隊「バシジ」は、未払い賃金の支払いを要求してストライキに入った運転手のストを潰す目的で2005年の春から警備隊を導入した。12月以降、イラン政府は様々な方法で運転手の抗議行動を抑えるため、抑圧政策をさらに強化した。1月28日、30人の運転手が重傷を負い、デモに参加した1400人が逮捕された。数日後、逮捕された運転手の家族や配偶者がイランの議会「マジレス」前に集まったが、ここにも治安警備隊が導入された。
12月22日に政府はテヘラン及びテヘラン郊外のバス会社の労働組合幹部役員を逮捕したが、同労組のリーダーであるマンスール・オサンローは今も拘留されている。イランの治安警備隊はバスの運転手に対して暴力という手段を用いて強制的にバスの運行に就かそうとした。このため労働者はイラン政府当局の暴力的弾圧に抗議し、ライトを付けてバスを走らせ続けている。
ICEMは2月15日のアクションデーに強い言葉の抗議文をイラン政府に送った。この抗議文は次のサイトを参照された。
/index.php?id=24&la=EN&doc=1658.
ICEM 、SINAP-CUTの闘争を支援
ICEMはブラジルのマランハオ州のSINAP-CUT労組の闘争を支援している。ブラジルの企業グループ「ジョアオ・サントス」は、労働組合への通告なしに、また労働組合と対話することを拒否したうえで、先月、ブラジル北部の辺ぴな街コエルホネトのグループ製紙会社Itapagé SA及び農業関連企業Agrimex SAの227人の労働者を解雇した。グループ・ジョアオ・サントスは、労働者に支払うべき社会保険料を拒否し、さらに労働者の解雇がコレスホネトにもたらす経済困難について認めることをも拒否した。
グループ・ジョアオ・サントスはこの片田舎のフォーマルセクターの90%の雇用機会を提供しているとともに、この町とその周辺地域の90%の土地を所有している。労働者とその家族は、ICEM加盟労組のSINAP-CUTと農業労組の支援を受けてコレスホネトの会社事務所前にキャンプを設営した。このキャンプに寝泊りしている人々に、会社側が要請した機動隊が脅しをかけた。労働者と組合は、グループ・ジョアオ・サントスに対し地域社会に土地を返還すること、町の学校と学校職員の雇用を維持すること、2005年11月現在の雇用レベルで労働者を再雇用することを要求した。
ICEM は労働者の要求を支持するとともに、ブラジルのシルバ大統領、労働・雇用大臣、労働基準局審議官に宛てた書簡の中で労働者に対する支持を表明した。
ザンビア電力送配電公社、エネルギー労組に報復
ICEM加盟労組の全国エネルギー関連産業労組 (NESAWU)は、ザンビア国営電力送配電公社(ZESCO)の経営の失策を明るみに出したため、経営側から報復と抑圧を受けている。ZESCOは同労組のピーター・チュパ会長及び支部労組の幹部ら数人を解雇し、ヨタム・マタヤチャロ書記長の組合専任職を解任した。
昨年の初めからZESCOは賃金の支払が数ヶ月遅れていたが、最近になって高い利子がつく当座借越と言う手段で賃金を支払った。また、ZESCOは労働者の年金保険料の振込みを怠った。2005年4月20日には、当該公社は未払い賃金と公社取締役代表の退任を求めてNESAWUが1週間ストを行使したため、組合側と締結していた組合認知合意書を破棄した。公社側の報復手段はその後ことさら強くなった。
今年初めにカフエゴージュ電力発電所の新設発電所で働く日雇い労働者が低賃金と賃金支払いの遅れに抗議してストした時、当該エネルギー労組はこれらの労働者を支援した。これに対し、ZESCOはストライキを指導した30人を仕事からはずすという手段で対抗した。1月10日、ZESCOの新取締役代表を選出する取締役会議に出席しようとしたチュパ会長は、40人あまりの警察官らに入室を阻止された。しかし、現取締役代表は会議を通常通り進行させ、退任する意思をまったく示さなかった。ZESCOは装置やインフラに十分な設備投資をしなかったため、 停電や変電器の不具合が起き、とくに一般家庭の停電などの問題が出ている。
ニュージーランドの電力争議斡旋が再開
ニュージーランドの地方電力会社トップエネルギーの労働者を代表するエンジニアリング印刷及び製造業労組(EPMU)の58名の組合員のロックアウト問題の解決に向けて、今日、仲介斡旋委員会が再開する。ロックアウトは2月4日にはじまり、ロックアウト中止についての仲介斡旋は先週失敗に終わった。ノースアイランド電力会社が架線作業員の生命に影響を及ぼす作業規則の変更を引き続き求めたことがその原因。
トップエネルギー社はEPMUの要求する5%の賃上げを受け入れたが、仲介/斡旋委員会を通じて労働者に示した譲歩案はこの賃上げを下回るものであった。EPMUはトップエネルギー評議会議長ブライアン・トーバンに公正な協約案の提示を求める書簡を送るよう国内外の労働組合に協力を要請している。トーバン議長のeーメールアドレスは[email protected].。
ニューヨークで開催された国際労働問題会議
2月9日から11日にかけて、ICEM加盟労組USW(全米鉄鋼労連)を含む米国労働組合とコーネル大学内にあるニューヨーク州労使関係研究所との共催で、国際労働問題会議が開かれた。この会議では多様な問題に関する分科会が開かれ、ネットワーク活動をしている550人のグローバル労働組合リーダーと労働問題研究者が参加した。
ある分科会に参加したロシアのICEM加盟労組のロシア化学労組国際局長ヴラジミール・トリブンスキーは、世界規模の連帯の重要性を強調した。彼は、化学企業のヘンケルが2002年にロシアの3工場で敵対的労使関係を開始した時、いかに労働争議が回避され、ドイツのIGBCEとともに永続的団結のプログラムを策定したことを詳しく説明した。ロシア化学労組のアレキサンダー・シトノフ会長も、プロクター&ギャンブルが正規雇用のフルタイム労働者を解雇して代わりに短期契約労働者を雇った時、同様にICEMとIGBCEから支援を得たことについて報告した。このアメリカの家庭用化学製品メーカーに対して契約労働の使用を中止するようプレッシャーがかけられたが、会社側はマンパワー社やケリーサービス社などの派遣会社を使って契約/派遣労働者を導入している。ロシア化学労組は現在これらの派遣会社の労働者の組織化活動を展開している。
また同会議では、元USW会長のジョージ・ベッカーのリーダーシップとブリヂストンタイヤ工場のスト期間中の闘争における貢献について特別の賛辞が呈された。さらにUSW副会長のジム・ロバートソンも、ジョージ・ベッカーに感動的賛辞を述べた。USW会長のレオ・ジェラルドはそのスピーチの中で、米国最大の産別労組が運営するICEMグローバル労組ネットワークへの留意を喚起し、「我々はすでに6つのグローバルアライアンスを外国の労働組合と形成した。我々は経営側との対応の関連において、このような国境を越えたネットワークの強化を図っているところである。」と述べた。
南アNUM女性部会会議
南アフリカ全国鉱山労組 (NUM)女性部会会議が2月16日-18日にかけて開かれ、500人の代議員が参加した。参加代議員は、全国リーダーシップチームの選出、職場活動計画の採択、および5月に開催されるNUM定期大会に提出する簡潔かつ具体的な活動計画の策定を行った。 また南ア労働鉱物エネルギー大臣のリンディウィ・ヘンドリックス、COSATU 第二副会長のバイオレット・セボネ及びANC 女性リーグ書記長のテンバ・クガシなどの著名な女性がこの会議でスピーチを行った。
NUM女性部会は1998年に創設され、その後はナショナルレベル及び国際レベルの女性リーダーシップの登竜門的存在となった。「NUMの女性は、これをするようにと指示される段階を卒業しました。組合の活動方針に女性の声を反映させるべく、力強く自己の立場を守ってきました。」とNUM女性部会議長のローザ・モハレは述べた。