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8 May, 2006

ネパール専制支配抗議のゼネスト、8日目に入る
ネパールのギャネンドラ国王が政府を解散させ、自身が絶対権力を支配した2005年2月以降で最大の抗議デモが先週1週間で展開された。7野党連合が主導し、ネパールの独立労組などの支援を受けて4月6日にスタートした4日間のゼネストは、その後ギャネンドラ国王の絶対支配を終わらせるための無期限ストに変わった。ゼネストで要求しているのは国会の復活である。
ネパール労組GEFONTによれば、政権側は制御がきかなくなり、平和的抗議者に対し残忍な攻撃を開始し流血の事態に陥っている。
GEFONT本部警備員を含む一般労働組合員に対する殴打や発砲に加え、4月以降合計43人のGEFONT幹部が逮捕されている。逮捕者には90日間から無期に及ぶ拘留命令が下された。昨日3人釈放されたが、他の多くのGEFONT幹部が厳しい監視下に置かれている。
ネパールの他の労働組合もあまり変わらない運命をたどっている。ネパール労働組合会議(NTUC)によれば、4月6日以降少なくとも10名の役員が逮捕されている。先週ネパールでは数百人単位のデモ参加者が拘留された。4月11日(火)だけでも2,300人の逮捕者が出たと報じるところもある。4月10日(月)以降、いまだ1300人が拘束されている。
全国規模で展開されているゼネストは今日で8日目、ネパールの至る所で大規模なデモンストレーションが実施されている。国王はこれに対し、多くの外出禁止令を発令した。今朝(4月17日)、警察は500人の弁護士によるデモ隊にむけて発砲し、その結果多くが病院に運ばれることになった。この数日間で少なくとも4人が死亡。また、大勢のデモ参加者が負傷した。
このような暴力行為を受けているにもかかわらず、民主化運動に対する民衆による支援は日を追うごとにますます広がっているように見える。抗議運動は専門組織やFNCCI(使用者・業界団体)の支援を獲得したばかりではなく、すべての社会的階級の国民が外出禁止令をものともせず参加している。
ICEMは、国王に対しては抗議文を、そしてネパール加盟労組に対しては激励文を送った。
仏首相が労働組合と学生に屈服
何百万人もの労働者と学生が嫌悪をむき出しにしたフランス新法・・・少なくとも政府によればより多くの若者を職に就かせることを意図したものであったが・・・に対する6週間にわたる熱烈なデモンストレーションとストライキの結果、フランス首相は4月17日、もうたくさんとばかりに同法案の撤回を決めた。
政府修正案さえも抗議者により激しく拒絶されることが明白になった後、ドビルパン首相は「初期雇用契約」(CPE)の撤回を発表した。
学生団体と合同で過去数十年のうち最大規模のデモンストレーションを成功裡に実施したフランス労組は、その結果に満足していると語った。初期雇用契約法案は、採用から2年間は26歳未満の労働者を雇用者は理由を示さずに解雇することを可能にするものだった。
4月17日(月)の撤回発表以降も主要都市で一部デモが継続された。修正案の内容に対する政府への圧力を維持するのがその目的。
4月12日(水)、フランス国民議会(下院)は初期雇用契約の代替法案を可決した。学歴が低く職業資格が不十分な若者を雇用するためのより多くの訓練、インターン制度および補助金のような措置により、就職困難な若者を支援することが今後の焦点となるだろう。
製紙大手インターナショナル・ペーパー(IP)社スコットランド工場で交渉に成功
4月9日(火)、インベルーリー(スコットランド)のIP工場で起きている争議を解決するため、英国Amicus労組代表とスコットランド経営側が話し合いを行った。
話し合いには英国ACAS(助言・調停・仲裁サービス)が関与。長い議論の末、2年間協約の基礎を成す取引に到達した。Amicus労組支部書記次長のウィリー・ウォレスによれば、次にこの協約を組合員に提示し、受け入れを推薦することになる。ただし、この手続きには若干の時間を要する。これにより、すべてのストライキは保留された。
それまで同労組は連続的な4時間時限ストなど会社に圧力をかけ続けた。数週間にわたるこのような争議行動の末に、経営側との話し合いがもたれることになった。争議の発端は、会社側による2006年度賃金凍結の提案であった。
トルコのセメント工場43か所でストライキ宣言
トルコのICEM加盟労組Cimse-Is (セメント・セラミックス・陶磁器・ガラス工業労組)は、トルコの43箇所のセメント工場で一連のストライキを開始する計画を今週発表した。
3月17日に始まった使用者団体との交渉が失敗に終わったことで、同労組執行委員会はこの決定を下した。組合側の様々な努力の甲斐なく、両者は意見の一致をはかることができなかった。5月1日のメーデーにまず23箇所の工場がストライキを始め、5月8日にはさらに20箇所の工場で同様のアクションを実施する計画。
コンチネンタルタイヤとの交渉がストライキに発展する可能性大(アメリカ合衆国)
米USW労組は、コンチネンタルタイヤ社シャーロット工場(ノースカロライナ州)でのストライキの可能性を開いた。必要と認めた場合、ストライキを認可する決定を組合が下すのは米国労組の一般的な行為。ひいては、現在に至るまでコンチネンタルとの協約成立に失敗していることによる論理的な結果である。
協約の交渉は半年以上続いているが、経営側の厳しい要求が原因で依然として行き詰っている。USW側は、現行の協約期限が切れる4月30日までに新しい協約を望むことを主張。一方、2006年9月時点でシャーロット工場でのタイヤの生産を無期限で停止することを示唆しているコンチネンタルタイヤ側は、同工場の経費を3200万USドル削減したい考え。特に、従業員全員の15%賃金カットを提案している。
昨年、すでに会社側は2006年に全従業員1,083人のうちの510人を整理解雇すると発表。3月には140人の労働者が解雇された。さらに170人が今年5月に同じ運命をたどることになっている。
以降、USWは若干の、より現実的な逆提案を提示している。職務保障規定および将来的生産性の保証もその提案の一部に含まれている。しかし、現在までそれは功を奏していない。USWがさらに強く抗議しているのは、保険協定が終了すると同時に退職者の給付を変更するかもしれないという会社側の脅しである。保険協定の期限が切れるのは、現行の労働協約の有効期限日の90日後。
医薬品福利厚生管理業者が米国でUSW組合員をロックアウト
4月5日、USW労組の組合員である医薬品労働者はメドコ・ヘルス・ソルーションズから締め出された。ラスベガス(ネバダ州)のメドコ社医薬品通販事業に携わる約500人の薬剤師が、違法かつ一方的な医療費給付の削減に直面している。
医療費給付の削減に抗議し連帯行動に加わった薬剤師への報復を行った同社に対し、3月31日、米国全国労働関係委員会(NLRB)が不当労働行為の訴えを認めた。このことにより、同社のロックアウトは違法であると考えられるようになった。
同社の処方箋管理事業の約25%は、組合がスポンサーである健康管理計画(ヘルスケアプラン)によって行われており、メドコ自身も米国の600万人の組合労働者が同社の処方計画の対象となっていることを認めている。USWは、メドコ社CEOに直接抗議するべく、それらの処方計画に関連のある労働組合の間でキャンペーンを開始した。
製紙大手ストラエンソとカナダCEP労組の交渉再開
ストラエンソによるCEP労組組合員600人のロックアウトが実施されてから初めての交渉が4月14-15日に実施されることになった。
1月中旬頃、CEPローカル972支部と経営側は和解間近にあった。しかし、スウェーデン・フィンランドを本拠地とする同社は外部委託規定の変更に固執した。変更すれば東カナダの製紙産業界ですでに確立されたパターン協約から逸脱することになる。
外部委託の問題提起に加え、両者はさらにポート・ホークスベリー(ノバスコシア州)における同新聞・印刷用紙製造工場の労働条件についても合意に達する必要があった。確かに会社側は組合指導者を3月時点で話し合いに招いたが、しかしそれは単に工場の稼動を続けるには地方税と電気料金の削減が必要であることを伝えるためだけであった。
政府指導者は、新しい団体協約が締結されるまでこの問題を議論の遡上に載せることはないとした。CEPローカル972支部の組合員は、ストラエンソが在庫削減を目的に無期限の事業所閉鎖を開始した2005年12月23日以降工場内部で働いていない。
南アフリカNUM組合員がデビアスのコフィーフォンテン鉱山でデモ
南アフリカ全国鉱山労組(NUM)の組合員が、4月4日、デビアスによるコフィーフォンテン鉱山(南部自由州)の閉山計画に対し抗議デモを実施した。
鉱山経営陣に覚書を渡し、労働者に対し回答がなされる約束を得た。NUM議長のJoseph Botileは、閉山すればコフィーフォンテンはゴーストタウンになってしまうと言う。この界隈においてデビアスは事実上唯一の事業者であり、約600人の労働者とその家族の収入源となっている。鉱山がなくなればNUM組合員は家族を養うことができなくなるだろう。
韓国KCTF、GSカルテックスのボイコットを展開
韓国ICEM加盟労組の化学繊維労連KCTFおよびその上部団体であるナショナルセンター民主労総KCTUは、GSカルテックス精油(旧称LGカルテックス精油)のボイコットを韓国で開始することを決定した。GSカルテックスはシェブロンと韓国GSホールディングスとの合弁事業。
これまでの数年間、会社側とは成果のない交渉が続けられ、その結果として今月はじめに今回のボイコット実施が決定された。争議の発端は2004年7月に遡る。当時、GSカルテックス労組は交渉が決裂した後にストライキを決行した。争点は、週休2日と週40時間の所定労働時間の要求、および契約労働者の差別禁止であった。
組合側の要求を受け入れなかったのは経営側だけではなかった。ストライキ参加者は韓国政府が派遣した機動隊により暴力的にストを抑止された。20日間のストライキの後、組合側のいずれの要求にも屈服する気のなかった経営側は、職場に復帰できる労働者とできない労働者を会社正門前で、しかも警察の協力により選別するという報復を行うことでその非情を示した。
会社は労働組合役員ほぼ全員を解雇。労働者の家族に対しても解雇を警告するなどして嫌がらせを加えた。さらには、組合幹部8人が逮捕され、2年から3年の禁固刑を宣告された。そして計650人の労働者が3か月の停職処分を受けた。
民主労総会長はボイコットを支持し、4月1日に無期限のハンスト闘争にはいった。
カナダ企業がビルマの鉱山を一時閉山
カナダの鉱山会社アイバンホーマインズ(Ivanhoe Mines)はビルマに投資する大手企業のひとつであるが、先月、ビルマの銅山での操業を数週間停止することを余儀なくされた。同社が取引する銀行と保険会社が同鉱山での契約を解約するとしたことが原因であるが、これは米国政府がビルマに対して実施している経済制裁に関係がある。アイバンホーによれば、規模は小さいとはいえ鉱山の操業は再開されている。
アメリカ合衆国の制裁によりビルマでの経済活動がますます困難になってきていると同社関係者は認めたと伝えられている。また、ビルマ政府との間で輸入許可など若干のテクニカルな問題が生じていることも同社は認めた。一時閉山したモンユア(Monywa)銅山プロジェクトは、アイバンホーと政府の合弁事業として実施されている。ビルマ政府はビルマ国内で活動するすべての外国企業に合弁事業を強制することで、軍事政権への安定的収入のフローを確保しようとしている。
チェルノブイリから20年
今年の4月26日で、世界がかつて経験したなかで最も大きな原子力事故が起きてからちょうど20年になる。1986年のこの日、現在は独立国家となったウクライナのチェルノブイリ原子力発電所第4号炉内部で致命的な爆発が起こり、放射性雲がソ連の大部分を覆った。ヨーロッパの多くの国々も影響を受けたが、その程度はソ連に比べればかなり少なかった。20年経過した今日にいたっても、放射性降下物による正確なダメージを測定することは困難である。
事故の直後、ソビエト連邦は国際社会の援助を受けてこの大災害の直接的被害を最小限にとどめるためのインフラ整備、主として損傷した炉を封じ込めるために巨額の資金をつぎ込んだ。
しかしながら、歳月が経過するにつれて、インフラ事業のための資金はあるにもかかわらず、当時の発電所労働者や被災地に入って現場処理活動を行った人々に対する支援は徐々に縮小されていることが明らかになった。そのような労働者のほとんどがウクライナ原子力労組(Atomprofspylka)の組合員であったが、彼らは災害と闘うことに命を捧げたか、あるいは数か月後または数年後に死亡した。そして生き残った人々にとって、現在の状況は非常に厳しい。彼らに雇用保障はないに等しい。また、こうした状況に政府はほとんど目を向けていないのが現状だ。
チェルノブイリ原子力事故記念日は、世界中の労働組合が職場の事故で生命をおとした労働者を悼む4月28日の国際労災被災者追悼デーの2日前。